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MRES

2015年6月9日、中国・新京報は、韓国で猛威を振るっている中東呼吸器症候群(MERS)に関して、MERS感染者と接触し隔離対象者となった韓国の医師夫婦がフィリピンに渡っていたと伝えた.夫婦は6日にフィリピンに渡り、7日に帰国。韓国当局は6日に夫婦が隔離対象であると伝えるため6日に連絡を試みたがつながらなかったという

韓国MERS:感染拡大、広がる社会不安 政府対応への不満、観光客激減、集落封鎖…

韓国保健福祉部は10日、中東呼吸器症候群(MERS)の感染者が新たに13人増え、2人が死亡したと発表した。これで感染者数は計108人(死者9人)となった。 韓国内では、感染が拡大したのは政府の初期対応が甘かったせいだ、と政府批判が渦巻いている。与野党の一部の国会議員らからは、パク・クネ大統領に13日から予定されている訪米を延期し、MERS対策に専念すべきだという声も出ている。また、中国人観光客が激減するなど、経済への影響や社会不安も広がっているようだ。

◆感染源の病院名を隠蔽
韓国での最初の感染者は、先月中東から帰国した68歳の男性だった。韓国保健当局によれば、感染した全てのケースがこの男性に由来しているという。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)によれば、この男性は、帰国後体調不良が続き、5月11日に初めて受診したが、原因がなかなか判明せず、病院を転々とした。ようやくMERSと診断されたのは、4ヶ所目の病院を訪れた9日後の5月20日だったという。その過程で少なくとも30人に伝染したらしい。

韓国・中央日報によれば、この最初の診断がパク・クネ大統領に報告されたのはさらにその6日後だった。こうした対応の甘さが感染者の適切な隔離措置を妨げ、感染を拡大させたと批判を集めている。また、政府がMERS患者が診察を受けた病院名の公表を避けた事も、感染の拡大につながったようだ。感染者のほとんどは、MERS患者が受診した事を知らずに来院した病院で感染したと見られている。

政府は批判を受け、今月7日にようやくMERS感染者が受診した24の病院名を公表した。特に患者数が多かったのは17人が受診したソウル南部の『サムスン・メディカルセンター(三星ソウル病院)』だ。政財界に絶大な影響力を持つサムスングループが経営する大病院であるため、政府が病院の評判が落ちるのを懸念して隠蔽した可能性も指摘されているようだ。ムン・ヒョンピョ保健福祉相は発表の翌日の記者会見で、「もし初期にもっと徹底的な対応をしていれば、MERSの拡大はずっと早く止めることができていたと思う。それついては非常に申し訳なく思う」と謝罪した(ワシントン・ポスト紙=WP)。

◆2000の学校が休校、「あいさつはおじぎで」
延世大学の社会科学者、ハン・ソンフン氏は、政府が情報公開の対応を誤ったために、市民はパニックに陥ったと批判する。「情報の取得は民主主義の基本的な要素だ。これが閉ざされた時、人々は混乱し、不安が広がる」と同氏はWPに語っている。ロイターも「死者の増加などに伴って社会に不安がまん延し、プロ野球の観客動員数減少から集落全体の封鎖までを招く事態となっている」と記す。

政府はここに来て、感染が疑われるケースでより厳しい隔離措置を取っている。南西部の全羅北道では、感染者を出した人口100人の村全体が封鎖された。「突然、移動できなくなった。ここから出たら、警察に捕まるか、携帯電話から追跡されるだろう」と、住民の一人はロイターに語っている。現在、韓国内では約2500人が隔離対象になっており、大半が自宅待機を命じられている。そうした人たちは、携帯電話の電波により、当局に居場所を監視されているという。

MERSの影響は一般市民の生活にも影響を及ぼしている。7日日曜日に行われたプロ野球の観客数は今シーズンの日曜日の平均を3割以上下回る8693人に激減。週末の映画の興行収入も2週間前の35%減だった。週明けにも影響は続き、約2000の学校が休校となった。ソウルの教会でも礼拝の参加者が減少しており、多くの感染者を出した病院がある教区では、教区民に対し、あいさつは握手ではなくおじぎをするように助言しているという(ロイター)。

◆中国人観光客が消えた
観光への影響も顕著だ。MERSの感染源はラクダだとされているが、ロイターによれば24頭のラクダを飼育する済州島の観光牧場では来場者が激減。中央日報は、近年激増している中国人観光客の姿が、ソウル中心部の観光地でも「ほとんど見当たらなかった」と報じている。同紙のインタビューを受けて初めて自分が大病院の近くにいると知った数少ない中国人観光客の一人は、「キャンセルするのが惜しくて韓国に来たが、家族がとても不安がっていた。中国では韓国でMERSが発生したことを知らない人はいない」と話し、あわててその場を離れていったという。

中国人観光客の反応は、2003年に香港を中心に猛威を振るった重症急性呼吸器症候群(SARS)のトラウマに関係しているようだ。香港では、SARSの流行以降、伝染病に対して非常に厳しい対策を取っている。今回も、MARSに感染した韓国人旅行者と接触した人々を郊外の休暇村に隔離し、韓国への渡航自粛勧告を3段階中2番目のレベルに引き上げている(WSJ)。

日本も9日、ソウルの日本大使館と釜山の総領事館に現地対策本部を設置したと発表した。日本人の安全確保や情報収集などを行うほか、日本へのMERS流入を防ぐため、厚生労働省などと緊密に連携するという(聯合ニュース)。

 

 


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